やらなかったらできない

やればできる―まわりの人と夢をかなえあう4つの力

やればできる―まわりの人と夢をかなえあう4つの力

書名:やればできる―まわりの人と夢をかなえあう4つの力
著者:勝間和代


■評価:良
  情報:△ 新規性:○ 構成:○ 日本語:○ 実用性:◎
  難易度:易 費用対効果:○ タイトルと内容の一致:×
  お勧め出来る人・用途 :自分を変えたいと真剣に考えている人・変わるためにはどうすればよいかのヒントを得る
  お勧めできない人・用途:楽をして成功したいと考えている人・成功した人の成功の秘訣を知る


■所感
 香山さんとの対談本の後に出した本かと思ったが、そうではなく、二人の対談が行われたのは、この本が出された後らしい。

勝間さん、努力で幸せになれますか

勝間さん、努力で幸せになれますか

 対談ではこの書籍については触れられていなかったが、香山さんはこの書をお読みになったのだろうか。
 恐らく対談の様子からすると、読んでいないと思われる。
 読んでいたとすればもう少し洗練された問を投げかけることが出来たはずだ。


 本書は「努力のすすめ」である。
 タイトルに反して「やれば出来る」とは一言も書いていない。
 (正確に言えば「やらなければ出来ない」とは明言している)


 ただ、本書のすすめる「努力」は日本人が考えがちな「独りで行う苦しいもの」ではない。
 副題にあるとおり、周りの者とお互いに助け合いながら高め合っていく、そういう類のものである。
 Win-Win


 本書の主張は明確で論理的にも筋が通っているので納得しやすい。
 実践は恐らく読んだ印象よりは遙かに困難だと思われるが(「自分を変える」ことほど難しいことはない。やってみればわかる)、決して不可能なことを提唱しているわけではない。
 そして、「誰でもやろうと思えば出来る」ことである。
 (この点が香山さんとの争点となるポイント。すなわち「努力」は「才能」か否か、という昔から延々と繰り返されてきた議論)
 勝間さんはきっとサルトルの自由論がお好きなのだろうな。


 それにしても。
 勝間さんは強い意志を持って敢えて誤解を生むようなことでも「キッパリ」と言い切ってしまう。
 また、アピールすべきところはしっかりとアピールする。
 必然的に敵を作ってしまうことを承知での行動であり、おそらくそれが勝間さんの「とんがり力」なのだろうが、「まったく相手にしない」といってもやはり一定のエネルギーは割かれてしまう訳で、そこはもったいないと思う。
 もう少し「しなやか」に「したたか」に生きるようにすれば楽だろうな、と思うがそうすると途端に「商品価値」がなくなってしまうんだろうな。



 最後に笑うのは勝間さんか、それとも勝間さんを利用している人たちか、あと2〜3年もしないうちに判明するだろうな。


 話が大いにそれたが、本書は自己啓発の中では良書の部類に入るので、一読をお勧めする。
 特に、「何か大きなことを成し遂げたい」人は必読。
 地盤・看板・鞄のない人がマスコミに取り上げられるような人になろうと思ったらこの方法しかないと言っても過言ではない。


■読了日
2010/06/06