タブーに挑戦!

書名:しがみつかない死に方 孤独死時代を豊かに生きるヒント (角川oneテーマ21)
著者:香山リカ


■評価:良
  情報:◎ 新規性:○ 構成:△ 日本語:○ 実用性:○
  難易度:易 費用対効果:○ タイトルと内容の一致:△
  お勧め出来る人・用途 :最近の日本の「死」事情について知りたい人・最近の日本の「死」にまつわる現状と、人が死んだ時にどのような手続きで処理がなされるかを知る
  お勧めできない人・用途:「孤独死」を避けたいと思っている人・「孤独死」にならない方法を調べる


■所感
 香山さんは「自分のことを棚に上げ」ている場合には、比較的良い内容の本をお書きになるのではないか、そう思った。
 まだ5冊(うち1冊は対談本)しか読んだことがないが、『しがみつかない生き方』や『親子という病』は、自分のことが密接に絡んでいるせいか、完全に独りよがりで意味不明な主張の羅列にしか思えない内容で、とても読むに耐えない本だった。
 (極端な表現だが、公にされた書に対する批評においてオブラートに包む必要はない)


 本作もタイトルからすると、前作と同様、御自分のことを書かれているだろうから、きっと読むに耐えない(以下略)...と思っていたが、意外に質が良かった。
 但し、あくまで「情報」が、である。
 本作はタイトルほどには著者の主張が出ていない。
 (どうも著者はこの件に関して、まだ「迷っている」ように感じた)


 本作では様々なパターンのいわゆる「孤独死」についてのレポートが記されているが、そのどれもが(当然のことだが)日常ではなかなか得られない情報となっており、大変興味深い。
 この辺りはなかなかおおやけにされないことなので、当事者から直接聞くしかないが、勿論赤の他人にべらべらと語るような話題ではないので、このような書籍の存在は大変価値がある。


 香山さん、ジャーナリストになってはいかがだろうか?
 あなたのような怖い者知らずの方ならば、田原さんのように「タブーに挑戦」することで、社会に貢献できるような気がするのだが。


 尚、新書の常であるが、本書をタイトル通りの内容だと思って手に取ると、不安をかき立てられるだけかき立てられたあとで、そのまま放置されるので注意。
 怖いもの見たさで手を出して、トラウマになっても私は(勿論著者も)責任は負えないのであしからず。


 ちなみに私は孤独死に関して「どうでもよい」と考えている。
 あらゆることが「どうでもよい」のがペシミストであるから当然と言えば当然ではあるが。


■読了日
2010/06/01