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ひとり上手な結婚

ひとり上手な結婚

書名:ひとり上手な結婚
著者:山本文緒(文), 伊藤理佐(漫画)


■評価:良
  情報:○ 新規性:○ 構成:○ 日本語:○ 実用性:◎
  難易度:易 費用対効果:○ タイトルと内容の一致:◎
  お勧め出来る人・用途 :パートナーとの関係に悩んでいる人・他のカップルがどのように直面した問題に対処しているかを知る
  お勧めできない人・用途:結婚したいなぁと漠然と考えている人・結婚するためのノウハウを学ぶ


■所感
 成功体験は参考にならないが、失敗の体験は参考になる。
 本書の著者は二人とも「失敗」の経験者であり、その経験から学んだことを活かしてその次にチャレンジしている、学習するチャレンジャーであり、それでも上手くいかないときには前向きに問題を解決する努力を惜しまない努力者である。
 それ故にこのお二人から学ぶことは多い。
 やはり経験に裏打ちされた意見は参考になる。


 本書の形式は、読者の質問に、両著者がそれぞれ個別に(話を合わせていないところがまた、多面的なものの見方となり、客観性を増している)回答する形式である。
 質問への回答は、勿論それぞれの独断と偏見によるものであるが、その問題にまつわる実体験に基づいた意見・提案であるから、その回答は大きな説得力を持つ。


 本書の最大の特長(というよりは本書の著者二人の結婚に対する姿勢で誉められるべき点)は、著者二人が「結婚」という人生で最大の決断を、自らの意志で行い、その自らの選択に対して向き合っていこうという姿勢でさまざまな危機に取り組んでいることである。
 結婚は勿論相手いてのことであり、どんなに努力をして誠心誠意を尽くしたとしてもどうしても上手くいかないことはあるが(現に本書の著者も何度も失敗している)、「自分で選んだんだ」というこの姿勢を保ち続けている限り、たとえ失敗しても後悔はしないだろう。


 結婚に関しては様々な書籍が出ているが、本書は特に真剣に人とのつきあい方に対して悩み考えている方にお勧めの本。
 たとえ「自分は結婚しない」と思っている人だとしても、生きている限り人と関係を結ばずに生きることは出来ないのだから、本書は生きていく上での参考になる。
 本書のタイトル「ひとり上手」は本書を良く表している。
 よりよく「ひとり」であるために、自立した男女(同性同士にも当てはまる話でもある)が「ひとり」を保ちながら「ふたり」であるために、どうしたらよいか、本書にはそのヒントが満載されている。


 最後に。
 下世話な表現になるが、「他人の結婚生活」ほど面白いものはない。
 本書は読み物としても十分楽しめる。
 肩の力を抜いて、「この人達はどうしているんだろう」という興味関心から本書を読むのも良いだろう。
 万人に勧められる良書。