なんだよ「眼力」って。質問力、でしょ

田原の眼力 (扶桑社新書)

田原の眼力 (扶桑社新書)

書名:田原の眼力
著者:田原総一朗


■評価:可
  情報:△ 新規性:△ 構成:△ 日本語:○ 実用性:△
  難易度:易 費用対効果:△ タイトルと内容の一致:△
  お勧め出来る人・用途 :田原総一朗について調べている人・過去田原さんが何を考え、発言し、それがどの程度正しい指摘であったかを調べる
  お勧めできない人・用途:現在の政治経済についての評論を求めている人・ジャーナリストの視点から現在の政治を考察する


■所感
 結論から言うと、田原さんについて何か調べる必要がある人以外は、特に本書を読む必要がない。
 田原さんが政治家ならまた話は違ってくるのだが・・・。
 

 確かに、政治や経済は過去からの流れで現在がある。
 現在を知るために過去の政治や経済について学ぶことは大いに意義のあることだが、本書は残念ながらそれにはふさわしくない。
 なぜなら、その記事が書かれた当時の「今」について書かれた寸評だからである。
 

 新聞のスクラップが一部の研究者を除いてたいした役に立たないのと同様、本書も多くの人にとってはあまり役に立たない情報しか提供できていない。
 リアルタイムで「サンデープロジェクト」を観ていた人にとっては尚更不要である。
 本書に記述されていることは全てそこで語られている。


 それにしても。
 こうやってみると、田原さんはやはり「テレビの人」なのだと思う。
 文章が拙い訳ではない。
 どこか味気ないのである。
 田原さんの対談本と比較してみると解る。
 あの独特の雰囲気、相手の「本音」を引き出す力、本質にズバッと切り込んでいく鋭さ。
 田原さんの本領はやはり相手とのかけあいの中で発揮されるのではないか。

 
 田原さんの本を読むのであれば、直近だとこれ、
 

 少し前ならこちら
  の方をお勧めする。


 それにしても。
 同じ連載でも「ギロン堂」の方は結構面白い記事があったのだがな。
 こちらの方が長いから力も入っているのかと思い、期待したのだが・・・。


■読了日
2010/04/14