日出づる国の黄昏
- 作者: 弘兼憲史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/22
- メディア: コミック
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作者: 弘兼憲史
■評価:可
物語:△ 情報:○ 斬新さ:△ 意外性:× 含意の深さ:△ ムーブメント:△ 構成:△ 日本語:○
難易度:易 費用対効果:△ タイトル:−
お勧め出来る人 :国際社会の表裏あわせた駆け引きについて興味がある人
お勧めできない人:一般的な大企業の社長の物語を求めている人
■所感
島さんも社長としてだいぶ落ち着いてきた感がある。
ただ、その分物語もマンネリ化してきた。
本巻は帯に記述があるように、「鉱物資源」(レアメタル!)を巡る国家間の表裏交えた駆け引きである。作者が所感として述べているように、確かに国際社会に於いては、正攻法だけではジリ貧になってしまうだけで(どこかのpigeonさんのこと)、時には限りなく黒に近いグレーゾーンでのやりとりは必須であろう。この点は共感できる(勿論当事者になるのはまっぴらごめんだが)。
冒頭でも述べたように、本巻はあまり大きな動きもなく、やや退屈感は否めなかった。
国際社会で没落していく国(とこの国を支えてきた主要産業)の「斜陽」を眺めているようで、思わずどこか遠い国の話のような気分になってしまったが、呑気なことを言っている暇はない、これが今のこの国の現状なのだ(「島耕作」はだんだん時代に追いついてきて、今は完全にリアルタイムを生きている)。
島さんも、英語ができるから、ここまで生き残ってきているんだよな、と考えると思わずため息が出る。
物語の中でも、島さんの次の世代が元気がないのが大変気になるところである。
やはりこの国は緩やかに滅びていくのだろうか。
(※以下ネタバレ注意)
残念ながら表紙の絵に反して、今回は大町さんは出てこない。
トリックスターの不在が今回の物語の退屈さの原因となっているとしたら、残念である。
■読了日
2010/11/29