人事も人間

人事部は見ている。 日経プレミアシリーズ

人事部は見ている。 日経プレミアシリーズ

書名:人事部は見ている。 (日経プレミアシリーズ)
著者:楠木新


■評価:可
  情報:△ 新規性:△ 構成:○ 日本語:○ 実用性:△
  難易度:易 費用対効果:○ タイトルと内容の一致:△
  お勧め出来る人・用途 :人事部とは「伏魔殿」だと思い込んでいる人・人事に携わったことがあるビジネスパーソンの生の声を聞き、人事に対する理解を深める
  お勧めできない人・用途:人事部に効果的にアピールしたいと考えている人・異動や昇進などの「からくり」を読み解く


■所感
 「こころの定年」で有名になった、『会社が嫌いになったら読む本』の著者の本。
 上作が良書であっただけに期待して頁を繰ってみたが・・・正直言うと期待外れ。
 内容的には著者の個人的な体験談にとどまっており、それ以上でもそれ以下でもない。


 ただ、それゆえにありのままの人事の実態、悩める人事部員の姿などがよくわかるという点では、「人事入門」として読むのであれば本書は何らか有意義な知見をもたらしてくれるだろう。
 私自身、人事の実態には疎かったので「なるほど」と思わされることが多かった。


 が、タイトルや帯の文言から類推されるような「人事」の「からくり」的なことは本書を読んだところで何も解らない。
 強いていえば人事部は思ったよりも独自に執行できる権限が限られているのだな、だとか、実際には各部課の部課長とのネゴなのだな、といった解る人には解るごくごく「当たり前」のことが解るだけ。
 ただ、実際にはこれらのことすらあまり「理解」はされていないのではないだろうか、ということを本書を読みながら感じていた。


 本書は「人事」の本ではなく「人事部」の本なのだ、と割り切って読めば、あまり損をした気分にはならずに済むかもしれない。
 「人事部」のことを理解したい人にはおすすめ。


■読了日
 2012/01/27